大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和40(あ)2002 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人三ツ木正次の上告趣意第一について。

所論の(一)は、原判決の是認した第一審判決が判示第一、第二および第五の各

所為につきした適条は、強盗の機会において人を死傷に致した場合殺意があつたと

きは、強盗致死または致傷と殺人またはその未遂罪との観念的競合があるとする大

審院判例(大正三年(れ)第三四二一号、同四年二月二六日判決、刑録二一輯一六

四頁)に違反すると主張する。

しかし、右第一審判決の適条と同趣旨に出でた当裁判所の判決(昭和三一年(あ)

第四二〇三号、同三二年八月一日第一小法廷判決、刑集一一巻八号二〇六五頁)が

あるのであるから、所論は刑訴法四〇五条三号の適法な上告理由に当らない(なお

所論引用の昭和三一年一〇月二五日の最高裁判所の判例は、強姦殺人の件に関する

もので事案を異にし本件に適切でない。)。

所論の(二)は、原判決の是認した第一審判決が判示第三の事実につきした適条

は、強盗が婦女を強姦しかつ殺意をもつてこれを死に致した行為は刑法二四一条後

段に該当するとの大審院判例(昭和三年(れ)第九一二号、同年七月一六日判決、

法律評論第一七巻下刑訴法三一一頁)に違反すると主張する。

しかし、右第一審判決のした適条と同趣旨に出でた当裁判所の判決(昭和三二年

(あ)第三二五九号、同三三年六月二四日第三小法廷判決、刑集一二巻一〇号二三

〇一頁)があるので、所論は刑訴法四〇五条三号の適法な上告理由にあたらない。

その余の論旨は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。

同第二について。

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所論は単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。

同第三について。

所論は、第一審裁判所が被告人の精神鑑定申請を却下したことは、苟くも被告人

本人に精神の異常を疑わしめるものがあるならば、鑑定人をして鑑定せしめた上こ

れを参酌してその判断を下すべきであるとする最高裁判所大法廷判例(昭和二三年

(れ)第一一四号、同年一一月七日判決、刑集二巻一二号一五八八頁)の趣旨に反

すると主張する。

しかし、所論は、原判決の認定しない事実(原判決の是認する第一審判決は被告

人に、当時刑事責任能力を否定または限定するような精神の異常を疑わしめる事実

の存在を認められない旨を判示している。)を前提とする主張であり、前提を欠く

ものであつて採るを得ない。

その余の論旨は、事実誤認、単なる法令違反の主張に帰し、適法な上告理由に当

らない。

弁護人三ツ木正次の上告趣意補充について。

所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。

被告人本人の上告趣意について。

所論は事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。

なお、所論の点につき、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは

認められない。

よつて、同四一四条、三九六条、一八一条一項本文により、裁判官全員一致の意

見で、主文のとおり判決する。

検察官 関之公判出席

昭和四一年三月三一日

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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